奈留の空き家を調べてみる

私たちが北九州から奈留島のお手伝いをすることになった一つのきっかけがあります。
今回はそのお話を少し…。

テレビをつけると、よく目にするようになっている「空き家問題」は、ここ奈留島においても他人事ではなく、身近な問題です。世間では、「空き家」って「危険だから〜」「防犯上危ない」「ボロボロでやばい」・・・いろいろなネガティブな話題が語られています。

奈留島の人たちもそのように思っている人が多いと思います。

 

空き家の危険度ではなく、活用の可能性に着目。

でも私たちは、その空き家の中には魅力的な空き家があって、そういった空き家の活用の可能性に着目して、前向きに空き家問題と向かい合おうと思っています。そこで奈留島の「空き家のポテンシャル調査」という調査を九州工業大学の徳田+建築計画研究室と連携して、実施しました。

空き家調査は、奈留地区に存在する空き家の実態を明らかにし、活用の可能性に着目し、それぞれの空き家を地域資源として価値を評価することを目的としました。
そこで、2016年8月から10月の間に、2段階で調査を実施し、調査の中から活用可能性の高い空き家の活用を前提としている購入予定の方と事業実施のためのワークショップを行いました。
(ワークショップについては、次回に記載します。)

今回は、空き家ポテンシャル調査について、少しだけ概要を書いていきます。

図1ポテンシャルの評価

第1段階では空き家の外観による調査を、奈留地区内に散在する空き家160軒を対象として行い、ここでそれぞれの物件を、「萌え度」・「傷みの状態」・「大きさ」・「際立った特徴」・「ポテンシャル」の5つの項目で評価することにしました。

萌え度とは?
都市部では見られないような、特に島外から訪れる人にとっては珍しい度数。

ポテンシャルとは?
萌え度や傷みの状態等をふまえて、活用の可能性の度合い。

総合的に判断すると、奈留島の現状の空き家全体のポテンシャル評価の概要結果は以下のことが見えてきました。

上の図が示すように、ポテンシャルが高い物件が59軒、低い物件が49軒で、どちらとも言えない物件が55軒でした。
ここで、どちらとも言えない物件の多くは、例えば傷みが激しいが萌え度が高いなど、活用する上で不利な点はあるものの、他の部分では利点があり活用の可能性を感じさせる物件と言えるはずです。

したがって、ポテンシャルの高い物件と合わせて全空き家の約3分の2以上は、何かしらの活用の可能性を感じさせる物件であるということがわかりました。
具体的には、外壁や窓枠が木製であったり石垣に囲われていたりなど萌え度が高い物件や、目の前が海で景観が非常に良かったり、広い庭や畑、納屋があるなどの特徴を持った物件、また改修しなくても使えそうな状態の良い物件が多くあることになります。

これらの結果をもとに、2つの基準によって、より活用の可能性の高い物件を抽出。
1つ目は状態が良く、活用する際にかかる手間やコストが少ない物件。
2つ目は萌え度が高く特に島外から訪れる人にとっては価値が高いと思われる物件としました。
これらの基準により抽出した65軒の内、内観してもよいという許可がもらえた17軒を第2段階の調査の対象として調査を続けることにしました。

第2段階では、物件の状態や状況をより詳細に把握するため、物件の内観調査と所有者や管理している方にヒアリングを行いました。内観調査で、間取り図の作成と傷みのある箇所及び状態の記録を行いつつ、「管理や使用の状況」、「空き家になった理由」や「いつから空き家なのか?」などの経緯と活用に対しての意向、要件などを記録していきました。

調査対象とした17軒について、使用頻度の関しては全く使っていない、あるいはほとんど使っていない物件が多く全体の8割以上でした。

物件の傷み度合いが、使用の意向(賃貸・売買)に関係している。

一方で、盆と正月の帰省時期のみ使うという物件や、年に5、6回程度頻繁に使っているという物件もありました。管理に関しては、管理人は隣家や集落内など近所に住んでいる場合が多く、奈留地区内に住んでいる場合が7割。傷みの状態については、比較的良いものが多く、改修すべき箇所が見当たらない物件や、改修しなくてもそのまま使えそうな物件が半数以上でした。
使用に対する意向としては、賃貸、売却ともにしたい及びしてもよいという物件を合わせると約4割。
また、賃貸を希望している物件は比較的物件の状態がよく、売却を希望している物件は比較的傷みが進んでいる物件が多いという傾向が見られました。

この結果から、それぞれの物件によって傷みの状態や使用に対しての意向、要件などの状況は様々。
例えば、状態が良い物件は管理人が近くに住んでいるなど、物件の状況にはそれぞれ関連があり、それらが使用に対する意向に大きく影響しているということがわかってきました。

今回の調査全体を通して、奈留地区に存在する空き家の中には、活用の可能性を持ったものが多数あることが分かりました。一方で、活用の可能性があるにも関わらず、活用できていない物件が多数あるという問題も明らかになってきました。これは、空き家の所有者が物件の活用に対して消極的であることが原因の1つと考えることができます。

空き家の活用の事例をひとつでも作る

たぶん「所有している物件が古いから、使えないでしょ?」と決めつけている所有者が多いのは、仕方がないことかもしれません。空き家の所有者が、活用方法の可能性に気づいていないことが1つの要因として考えられます。

例えば、普段使わないが盆と正月のみ使うといった物件は、使われていない期間を短期滞在施設店舗などとして、他の用途で活用の可能性があるなどと妄想できるんじゃないかと思います。
所有者が前向きになるために一番大事なことは、島の中に、空き家を使った事例を一つでも実現させていくことが大事だと思っています。

島の魅力の一つとなるような空き家の使い方をつくるために12月には、それらの空き家を活用して、事業を行いたい奈留島在住の方と一緒に事業計画を行うワークショップも行いました。

その内容は、また今度記事にしたいと思います。

行って戻って奈留島
「mikke(ミッケ)」

長崎県五島市の真ん中、豊かな自然と人の宝庫です。ぜひ一度魅力を感じに来てくださいs!一瞬でハマります。

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行って戻って奈留島ミッケの運営/編集を担当しています。様々な地域にまたがり、地域の良さを発信しています。 奈留島を外から見た眼で、心地良い奈留島に訪れたくなるような記事を書いていきます。